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【活動報告】2024.1.17 日本をもっと知りたい会 葛飾北斎を学ぶFW(第1弾・両国編)開催

 1月17日、「葛飾北斎を学ぶ」をテーマに両国にある「すみだ北斎美術館」を訪ね、人間北斎に思いを馳せながら作品の魅力を存分に楽しみました。

 北斎の「富嶽三十六景」はあまりにも有名で、「神奈川沖浪裏」は今年から発行される新千円札に採用され、「凱風快晴」は通称「赤富士」として広く知られています。それ以外にも、肉筆画や摺物、読本挿絵など多くの作品を遺していますが、今回のFWは、作品の素晴らしさを鑑賞するだけでなく、『葛飾北斎の人となりや人生という視点から作品を観察すると、もっと興味深くなるのではないか』という発想で臨みました。

 北斎は、美術館近くの本所生まれで、身長180㎝近い当時としては大男、90歳と当時としては驚異的な長寿、片付けが面倒で生涯で93回の引っ越し、30回も画号(ペンネーム)を変更、売れっ子であったにもかかわらず金銭感覚がなく万年貧乏、兄弟子であろうと武士であろうと金持ちであろうと人に媚びず喧嘩っ早い、冬場はこたつに入ったまま絵を描き続け疲れたらそのまま寝る 等々、人間北斎を語るエピソードは枚挙にいとまがありません。ただ一つ、絶対にぶれなかったこと、それは作品づくりへの拘りと執念、妥協しないことでした。

 参加者の皆さんにそのような人間北斎を知っていただくため、資料の配布、書籍・YouTube動画の紹介などを通じて事前に把握していただきました。感じ方は皆さんそれぞれと思いますが、違った角度から観察することで新たな発見があったのではないでしょうか。

 美術館鑑賞後は、横網町公園内にある東京都復興記念館と東京都慰霊堂を訪ねました。横網町公園は旧陸軍被服廠跡にあり、多くの犠牲者を出した関東大震災や東京大空襲の資料や展示物があります。奇しくも、元旦の大震災で新年を迎えた令和6年、災害や戦争への思いを新たにし、犠牲者のご冥福を静かに折ることができました。

 参加者の皆さんから寄せられた感想をご紹介します(抜粋)。

・北斎は知っているようでほとんど知らない浮世絵師でした。有名な富嶽三十六景のいくつかを話すことですべてわかったつもりになっていた自分が恥ずかしい限りです。今回のFWで少し北斎のことが理解できたと思います。また、横網公園も丁度能登半島地震直後ということで、非常にインパクトがありました。ここの焼死者が関東大震災の死者の半分以上を占めているという事実は衝撃的でした。

・葛飾北斎という偉人、作品はこれまでに何処かで見聞きしましたが、今回初めて現物を前にじっくり感じとることができました。特に250年前の時代背景や人間描写は圧巻でした。

・FWの前に書籍を数冊読み臨んだので、時代別の作風・ジャンルの流れがよく理解でき有意義でした。北斎は晩年ほど素晴らしい作品を残しているので、自分としての主な宿題は、〇海外でも非常に評価が高い『富岳百景』を観ること 〇小布施にある大作の天井画を観ること と考えています。 関東大震災、東京大空襲の復興記念館および慰霊館では、前者は火災の被害が大きかったという認識はあったものの、小田原などで津波があったことは新たな発見でした。丁度大相撲の初場所が開催されていたので、多くの力士を目にし、青空に映える綺麗な幟を観ることができたのは良かったと思います。

・満足度百パーセントの内容でした。その理由は、私にとって全てが「初めてづくし」だったからです。先ず、ランチで頂いた「ちゃんこ」はとても美味しく、添えられていた他のメニューも種類が豊富で満腹になりました。「すみだ北斎美術館」は、期待通り代表的な錦絵など多彩な作品が展示されていて、北斎の奇才・天才ぶりを窺い知ることが出来ました。その後訪れた「東京都復興記念館」と「慰霊堂」では、関東大震災や戦災が人々にもたらした悲しみや痛みに触れ、ご冥福を祈ると同時に、今まさに能登半島地震で被災された方達に対し思いを馳せました。

・とても楽しいひと時でした。「サムライ」という新しい切り口で北斎の魅力を再確認できました。絵師はもちろんですが、それにしても、彫師の技量のすごさにいつも舌を巻かれます。繊細な崩し字をまるで極細の筆で書き上げるように仕上げるなんて。凄いです。

・北斎は挑戦し極めるための努力を惜しまなかった画家だと改めて感じました。変人と言われながらも多くの弟子がいることもさすがだし、弟子たちもある意味変人ばかりだったのかもしれないと思ったり筆の緻密と生活のガサツさのギャップも人を惹きつけたのかもしれないと思ったりと、ギャラリーを歩きながら想像が膨らみました。また、東京都復興記念館では、直視するのも苦しくなるような写真を目の当たりにし、日本人に刻まれたこの負の記憶を決して風化させてはならないと改めて感じました。

・北斎の作品はあまりにも有名であるがために、もはや一つのデザインとして当たり前にように至る所に存在しているのですが、彼の人となりを知ると非常にユニークで人間臭く、奥深い魅力を感じることができます。北斎漫画を初めて見た時は、現代のイラストレーターとなんら変わらない感性やセンスに大変驚き感銘を受けました。インバウンド向けにガイドの仕事をする機会もあるので、今後は北斎のそんな一面も是非伝えて行きたいと思いました。また、奇しくも阪神淡路大震災からちょうど29年目のこの日に東京都慰霊堂を訪れ、過去の災害の被害者の方々に祈りを捧げることが出来たことは、とてもよかったと思います。こちらも東京都復興記念館も初めての訪問でしたが、私は母からあの3月10日の東京大空襲を深川で受け生き延びた体験談を幼い頃には度々聞かされており、久しぶりにその頃のことを思い出しました。今ではいずれも訪れる人も少ない、あまり一般の人々からは興味も持たれていない施設との印象を受けましたが、だからこそ過去の記憶を忘れないこと、遺すこと語り継ぐこと大切さを改めて感じる1日となりました。

・北斎美術館は2回目の訪問でした、前回は北斎漫画に感動したのですが、今回は事前の学習で風景画の魅力も知ったことで、北斎の構図が良く考えられていて、さらには非常に詳細な(本当に版画???)画風に魅了されました。また、読み本の作成元に蔦屋が登場し、現在の蔦屋書店に繋がっていること、さらには展示されている本の装丁が非常に丁寧で、現在も世界で一番きれいだと言われている日本の本の装丁に繋がっているのでは、と感じました。

・「すみだ北斎美術館」には以前から一度足を運びたいと思っており、今回のFWでは、葛飾北斎の新たな面や特異な一面が見ることができました。東京都復興記念館では、関東大震災当時の写真や実物資料等の展示物で、近い将来起こる可能性が高い大震災(地震)に対する覚悟や備えを改めて感じたところです。また、東京空襲及び戦災復興に関する資料等から現在の都市化する東京の歴史を過去に遡ってその足跡を確認する事ができました。

・今回初めて「もっと会」の催しに参加させて頂きました。北斎については作品については大波と富士山等の風景画くらいですが、一方、フランスのジャポニズムの作家たちに大いに影響を与えたことは存じ上げていました。今回事前学習として送って頂いた資料と、タイミング良く放送されたテレビ朝日系の番組「博士ちゃん」で北斎になりたい少年を取り扱った作品を見て、北斎は知れば知るほど面白い、江戸時代で90歳迄生きた、いわば、いろんな意味で超人だと感心致しました。すみだ北斎美術館には欧米系の観光客を中心に外国の方も訪れており、北斎の海外での浸透ぶりが肌で感じられました。

・これまで北斎については、「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」などの有名な作品があることは知っていましたが、その人物像や彼の作品が世界中で称賛されるようになった経緯などは知りませんでした。今回FWではそれらについて学ぶとともに、有名作品以外にも数えきれないほどの繊細で素晴らしい作品があり、彼は長寿の生涯を通じて絵を描くことに人生を捧げた人であったことを学びました。また、東京都復興記念館と東京都慰霊堂については、多くの犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに、防災や平和の大切さについて再認識する機会となりました。

・北斎と言えばやはり風景画や北斎漫画と呼ばれる膨大な数のスケッチが有名ですが、そのほかに大変多くのサムライ画も残っていて、これらも主な画題となっていたことがわかりました。これらの読本を通して江戸の庶民が源平合戦などの軍記に親しんだことに想いを馳せ、当時の識字率の高さ、精巧な木版印刷の技術の高さなどにあらためて感心しました。私は2度目の訪問でしたが、前回にもまして学ぶことの多かった訪問になりました。 また、事前学習として提案いただいた北斎についてのYouTubeを見ましたが、特に画家となった娘の栄についての研究が近年盛んになり、90歳近くまで画家として活躍したという謎にせまるという解説にワクワクしました。横網町公園は初めて訪問しました。関東大震災、第2次大戦の戦火を受けた地、最近の被災地などを訪ねるとこれまでいくらも見聞きしてきたはずなのに新たに知ることが多くあります。関係した人々それぞれに被災の形や思いは違うのだろうと感じます。能登震災の直後でもあったので、戦争や災害の起こらないことを心から祈りました。

・今回のコースの半分は、専攻科時代のFW後に数人の一期生女子で回ったところと同じだったので、懐かしい思いと共に楽しく参加させていただきました。北斎美術館では当時とは違った展示も多数あり、2度目とは言ってもまた新たに楽しむことができましたし、見応えもありました。東京都復興記念館は初めて見学しましたが、震災・空襲と2度も甚大な被害を被ったにもかかわらず、その都度復興していく人間の底力を改めて強く感じました。同時に、能登半島地震で被害を受けた地域の1日も早い復興を祈る気持ちになりました。

・葛飾北斎は、日本のみならず海外での評価が高く、日本人として説明できるくらいは知っておくべきと思い、参加させていただきました。活躍したのは約200年前で、意外に近い時代に生きた人物だったと感じ、現代の技術を手にしていたらどんな作品を残したのかと、想像が膨らみました。関東大震災、東京大空襲を伝える東京復興記念館の見学も合わせ、下町情緒の残る両国の地を満喫した一日となりました。

 皆さんの感想は思いが伝わってくる力作ばかりで、北斎への興味がますます深まっていきますね。

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